令和7年の年明け以降、百日咳患者の報告が増加しています。
非常に感染力の強い感染症です。いつもと違う咳が出る、咳が長引いているといった体調の異変を感じた時は無理をせず、早めに医療機関を受診するようにしましょう
(主な症状について)
7~10日の潜伏機関を経たのち、カタル期、痙咳(けいがい)期、回復期の3つの経路をたどります。回復までに約2~3ヶ月かかります。成人の百日咳では、咳が長期にわたって持続するもの、典型的な症状がみられないために診断が見逃されやすく、感染源となって周囲へ拡大してしまうこともあるため、注意が必要です。
●カタル期:約2週間
かぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増え激しくなります。
●痙咳(けいがい)期:約2~3週間
次第に特徴ある発作性けいれん性の咳(痙咳)となります。短い咳が連続的に起こり(スタッカート)、続いて、息を吸うときに笛のようなヒューという音がでます(ウーブ)。
夜間の発作が多いですが、年齢が小さいほど症状は多様で、乳児期早期では特徴的な咳がなく、単に息を止めているような無呼吸発作からチアノーゼ(顔色や唇の色が紫色に見えること)、けいれん、呼吸停止と進展することがあります。合併症としては、肺炎や脳症などがあります。
●回復期:約2~3週間
激しい発作は徐々におさまりますが、時折、発作性の咳がみられます。
(感染経過について)
百日咳菌に感染した人の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる菌を吸い込むこと(飛沫感染)や、菌が付着した手で、目、口、鼻の粘膜に触れること(接触感染)により感染します。
(予防方法について)
手洗いや咳エチケットなどの基本的な感染対策が重要です。
また、百日咳の予防には、予防接種(5種混合ワクチン等)が有効です。生後2か月から予防接種法に基づく定期接種を受けることができるため、計画的に接種しましょう。
(治療方法について)
生後6か月以上は、抗菌薬により治療が検討されます。また、咳が激しい場合には咳止め等の対象療法が行われることがあります。